PAY ON FOOT

アメリカ合衆国の無人の平面駐車場においては、日本で言う『コインパーキング』のアメリカ版といえるような駐車場が存在した。
『PAY ON FOOT(徒歩で支払いに行く)』と呼ばれる駐車場で、日本にあるようなフラップは存在しない。



あくまで白線内に普通に車を停めるだけで、『料金前払い、料金体系は12時間12ドルの一種類のみ』という設定がほとんどだった。
路上駐車スペースの集合版という印象を受けた。
平日の14時~17時に利用・見学したところ、どのPAY ON FOOTも8~9割は埋まっていた。
精算機が一機あるだけなので、初期投資がほとんどかからず、日本のコインパーキングのようにフラップ絡みのトラブルが皆無なところが、このシステムの利点だ。

 



逆に『不正の取締りが困難で駐車料金の回収率が悪いというリスクの方が大きいのでは?』と感じていたが、各地のPAY ON FOOTを見たところ、ほぼ100%に近い割合で各利用車のダッシュボードに購入済チケットが提示(写真14)されている。

 

路上駐車スペースにて『EXPIRE(利用時間終了)』表示のパーキングメーターが連発だったことは、『お役所側の回収意欲が薄い』ということで納得がいくが、『この設備でこれだけの人がまじめにチケットを購入している』理由が全くわからず、(コネがなくどのPAY ON FOOT管理者に話を聞くこともできずに、)皆で思案に明け暮れていた。
そんな折、幸運にもあるPAY ON FOOTで集金担当者が通りかかり話を聞くことができ、その謎を解明することができた。
ここで聞いたPAY ON FOOTの管理方法に関しては、この後の駐車場管理方法にて詳しく記述する。

 

 PAY ON FOOT管理方法

次に、PAY ON FOOT集金担当者からきいたPAY ON FOOT管理方法だが、①不正車(=料金未払車)を見つけたらまず、『出庫時の専用BOXへの駐車料金支払い』を促す催促状に不正車のフルナンバーを記入して、運転席のガラスに貼り付ける。
と同時に、不正車リストにフルナンバーを記入する。②翌日の集金時に、専用BOXの中身を回収して、未払いだった不正車には、フルナンバーから住所を調べて、再度料金支払いを促す封書を出す。
③これでも、未払いの場合は罰則金や諸経費を含めた料金を徴収しに行く。
②の封書を出した段階で、70~80%は回収できるそうで、②までの作業ならそんなに手間はかからないとのこと。
『恐らく、フルナンバーを控えてあることで、すぐに堪忍するのではないか』とのこと。彼一人で、12件のPAY ON FOOTを管理しているそうで、立体駐車場同様、勤務人数が日本に比べて格段に少ないということになる。
ちなみに、不正車リストにある車が再度不正した場合には、直ちにレッカー移動するとのこと。
料金後払いがほとんどの日本のコインパーキングでは、今のところ不可能な対応策だが、非常に有効な手段だ。
また、どのPAY ON FOOTも比較的均等に埋まっているのは、『(地理的な条件ももちろんあるが、)日本以上に車利用の多いアメリカにおいては、12時間12ドルの料金に魅力を感じる層が十分に存在し、利用客にリピーターが多いため』だそうだ。
ただし当然、回転率はあまり良くないらしい。
いずれにせよ、日本のコインパーキング管理方式は、料金はキッチリ回収できるが、不正車の取締りにためのビデオカメラの設置・ビデオによる不正確認・設備の保守等、アメリカと比較した場合に格段と経費がかかることは間違いない。