建設省都再発第五三号
昭和四三年一〇月一六日 都道府県・六大市担当部局長あて
建設省都市局長通達
駐車場法施行令第一五条の認定基準について
標記については、別紙のとおり認定基準を定めたので、通知する。従前認定された特殊装置については、すべてこの認定基準による認定を改めて行ないその結果を通知することとしているが、それまでの間は従前の認定はその効力を失わないので、あらかじめ承知願いたい。 なお、この旨貴管下市町村に十分周知せしめられたい。 これに伴い、次の通達は廃止する。
- 一 「路外駐車場の構造について」 昭和三七年七月二八日付建設都総発第三八号、都市総務課長通達
- 二 「特殊の装置を用いる路外駐車場の面積の算定について」 昭和四〇年一月二九日付建設都発第九号都市局長通達
別紙
駐車場法施行令第一五条の認定基準
I 総則
駐車場法施行令(以下「令」という。)第一五条に規定する特殊な装置(以下「特殊装置」という。)の認定については、この認定基準により行なう。なお、認定された特殊装置については、別途建築基準法の適用があるものとする。
- (1) 認定の対象 特殊装置を用いる路外駐車場は、特殊装置を用いることが、その路外駐車場の構造及び設備の全体に影響を与えるので、令第一五条による認定は、当該特殊装置のみに限定せず、当該特殊装置を用いて路外駐車場を設置する場合における当該路外駐車場全体の構造及び設備を併せて想定し、必要な関連事項に及ぶものとする。
-
(2) 特殊装置の分類
-
イ 特殊装置が令第九条の駐車の用に供する部分に該当するもの
- (イ) 垂直循環方式 いわゆるメリーゴーランド方式のことで、駐車場利用者がその保管を委託しようとする自動車を駐車の用に供する部分に乗り入れ、駐車場利用者が装置外に退去した後その駐車の用に供する部分を垂直に循環させることにより、当該自動車の保管に当る方式である。したがつて、この方式の装置内には、令第八条の車路はなく、令第九条の駐車の用に供する部分のみがある。
- (ロ) 水平循環方式 駐車場利用者がその保管を委託しようとする自動車を駐車の用に供する部分に乗り入れ、直ちに装置外に退去した後、平面的に二列以上並べた特殊な装置の駐車の用に供する部分を水平に循環させ、又は循環動作とリフトの昇降を組み合わせることにより自動車の保管に当る方式であり、この方式の装置には、令第八条の車路はなく、令第九条の駐車の用に供する部分のみがある。
- (ハ) 多層循環方式 駐車場利用者がその保管を委託しようとする自動車を駐車の用に供する部分に乗り入れ、直ちに装置外に退去した後、多層以上積み重ねた平面的に並んだ特殊装置の駐車の用に供する部分を相互に循環させ、又は循環動作とリフトの昇降を組み合わせることにより自動車の保管に当る方式であり、この方式の装置内には、同様にして、令第九条の駐車の用に供する部分のみがある。
- (ニ) 二段方式 二段式の特殊装置をいう。この方式による装置内には、令第八条の車路はなく、令第九条の駐車の用に供する部分のみがある。
-
ロ 特殊装置が令第八条の車路に該当するもの
- (イ) 自動車用エレベータ 自動車用エレベータが路外駐車場の車路の一部に相当するものである。したがつて、この方式により保管しようとする自動車を駐車の用に供する部分のある階まで運搬するときは、人を乗せて昇降する。
- (ロ) 方向転換装置(ターンテーブル) 車路に屈曲部を設けないで、この装置の回転により自動車の方向を転換するもので、路外駐車場の車路の一部に該当する。
-
ハ 特殊装置が令第九条の駐車の用に供する部分と令第八条の車路との組み合わせであるもの
- (イ) エレベータ方式 令第九条の駐車の用に供する部分が固定しており、エレベータがその固定している駐車の用に供する部分までの車路の一部に相当するもので、自動車用エレベータとの相違は、この方式の装置が駐車の用に供する部分とエレベータとの組み合わせで設計されている点にある。
- (ロ) エレベータ・スライド方式 エレベータ方式におけるかごが昇降と同時に横行する方式である。
- (ハ) 平面往復方式 特殊装置の駐車の用に供する部分を平面的に並べ、或は駐車の用に供する部分を平面的に往復させることにより自動車を運搬し、又は運搬格納する方式である。
-
イ 特殊装置が令第九条の駐車の用に供する部分に該当するもの
- (3) 対象とする自動車 特殊装置を用いる路外駐車場が保管を予想する自動車は、道路運送車両法施行規則(昭和二六年運輸省令第七四号)別表第一に定める普通自動車(大型のバス、トラツク等を除く。)、小型自動車又は軽自動車(二輪自動車を除く。)とする。
- (4) 特殊装置の面積の算定方法 特殊装置の駐車の用に供する部分の面積の算定に当つては、垂直循環方式、水平循環方式などのように駐車の用に供する部分に該当する車箱(ケージ)、パレツト(トレイ)などの面積の算定の容易なものについては、その面積によるものとし、その算定が困難なものについては、小型自動車又は軽自動車(二輪自動車を除く。)のみの駐車の用に供する特殊装置については自動車一台当り一二平方メートルと、普通自動車(大型のバス、トラツク等を除く。)の駐車の用に供することができる特殊装置については自動車一台当り一五平方メートルとみなして算定する。
- (5) 特殊装置の安全性 特殊装置は、駐車場利用者がその保管を委託しようとする自動車を円滑かつ安全に保管するものでなければならない。
- (6) 認定基準の特例 この認定基準により難い特別の事情がある場合においては、個別に建設大臣において認定することとする。
II 特殊装置の分類ごとの認定基準
一 垂直循環方式、水平循環方式、多層循環方式
- (1) 令第七条(自動車の出口及び入口)関係 本条の規定による。
-
(2) 令第八条(車路)関係
- a 特殊装置を用いて駐車の用に供する部分の面積が五〇〇平方メートル以上の路外駐車場を設置する場合には、本条第一項に規定する「円滑かつ安全に走行する車路」として特殊装置と道路との間に、当該特殊装置に収容可能な自動車二台以上を停留し、又はターンテーブルを設けることができる車路に相当する空地を設けるものとする。ただし、通り抜けのように特殊装置の出口と入口とが分離された構造の場合には、入口側にのみ、当該装置に収容可能な自動車一台分に相当する空地を設けることで足りる。
- b 前項の車路が建築物であり、かつ傾斜部でない場合におけるはり下の高さは、二・一メートルとすることができる。
- (3) 令第九条(駐車の用に供する部分の高さ)関係 駐車の用に供する部分の高さは一・六メートル以上とする。
- (4) 令第一〇条(避難階段)関係 本条の規定による避難階段は、これを設けないことができる。
- (5) 令第一一条(防火区画)関係 本条の規定による。
- (6) 令第一二条(換気装置)関係 本条の規定による換気装置は、これを設けないことができる。ただし、(2)aの車路が建築物である場合においては、当該車路の部分については本条の規定によらなければならない。
- (7) 令第一三条(照明装置)関係 駐車場利用者がその保管を委託しようとする自動車を特殊装置の駐車の用に供する部分に乗り入れる場合においては、当該部分については二ルツクス以上の照度を保つこと。
- (8) 令第一四条(警報装置)関係 本条の規定による。
二 二段方式
- (1) 令第七条(自動車の出口及び入口)関係及び令第八条(車路)関係 本条の規定による。
- (2) 令第九条(駐車の用に供する部分の高さ)関係 駐車の用に供する部分の高さは、一・八メートル以上とする。ただし、駐車の用に供する部分で人の立ち入らないものについては、駐車の用に供する部分の高さを一・六メートル以上とすることができる。
- (3) 令第一〇条(避難階段)関係 本条の規定による避難階段はこれを設けないことができる。
- (4) 令第一一条(防火区画)関係 本条の規定による。
- (5) 令第一二条(換気装置)関係 本条の規定による換気装置は、これを設けないことができる。ただし、車路が建築物である場合においては当該車路の部分については本条の規定による。
- (6) 令第一三条(照明装置)関係 駐車場利用者がその保管を委託しようとする自動車を、特殊装置の駐車の用に供する部分に乗り入れる場合においては、当該部分については二ルツクス以上の照度を保つこと。
- (7) 令第一四条(警報装置)関係 本条の規定による。
三 自動車用エレベータ
- (1) 令第七条(自動車の出口及び入口)関係 本条の規定による。
-
(2) 令第八条(車路)関係
- a 一の(2)に同じ。
- b 車路に相当するエレベータの幅員は収容可能な自動車一台の幅員に〇・五メートル以上を加えた寸法とし、エレベータの高さは一・八メートル以上とする。
- (3) 令第九条(駐車の用に供する部分の高さ)関係、令第一〇条(避難階段)関係、令第一一条(防火区画)関係及び令第一二条(換気装置)関係 本条の規定による。
- (4) 令第一三条(照明装置)関係 車路に該当するエレベータについては、その床面の照度を一〇ルツクス以上に保つこと。
- (5) 令第一四条(警報装置)関係 本条の規定による。
四 方向転換装置(ターンテーブル)
方向転換装置については、自動車を迅速かつ安全に方向転換させるものと認められる場合には、令第八条第三項第二号の規定によらないことができる。
五 エレベータ方式、エレベータ・スライド方式
A 人を乗せないで昇降するもの
右記一に同じ。
B 人を乗せて昇降するもの
- (1) 令第七条(自動車の出口及び入口)関係 本条の規定による。
-
(2) 令第八条(車路)関係
- a 一の(2)に同じ。
- b 車路に相当するエレベータの幅員は収容可能な自動車一台の幅員に〇・五メートル以上を加えた寸法とする。なお、エレベータの高さは一・八メートル以上とする。
- (3) 令第九条(駐車の用に供する部分の高さ)関係 本条の規定による。ただし、人を乗せて昇降するものであつても、自動車の保管を委託しようとする一般の駐車場利用者が少なくともエレベータに自動車を乗り入れて直ちに退去し、駐車の用に供する部分の乗り入れは当該路外駐車場の職員のみにより行なわれる方式のものであつては、駐車の用に供する部分の高さは一・八メートル以上とし、駐車の用に供する部分に人の立入らないものについては高さを一・六メートル以上とすることができる。
- (4) 令第一〇条(避難階段)関係、令第一一条(防火区画)関係及び令第一二条(換気装置)関係 本条の規定による。
- (5) 令第一三条(照明装置)関係 車路に該当するエレベータについては、その床面の照度を一〇ルツクス以上に保つこと。
- (6) 令第一四条(警報装置)関係 本条の規定による。
六 平面往復方式
A 人を乗せないで移動するもの
右記一に同じ。
B 人を乗せて移動するもの
- (1) 令第七条(自動車の出口及び入口)関係 本条の規定による。
-
(2) 令第八条(車路)関係
- a 一の(2)に同じ。
- b 車路に相当する移動部分の幅員は収容可能な自動車一台の幅員に〇・五メートル以上を加えた寸法とする。なお当該部分の高さは一・八メートル以上とする。
- (3) 令第九条(駐車の用に供する部分の高さ)関係 本条の規定による。ただし、人を乗せて移動するものであつても、自動車の保管を委託しようとする一般の駐車場利用者が少なくとも当該装置の駐車の用に供する部分に自動車を乗り入れて直ちに退去し、駐車の用に供する部分の移動が当該路外駐車場の職員のみにより行なわれる方式のものにあつては、駐車の用に供する部分の高さは一・八メートル以上とし、駐車の用に供する部分に人の立ち入らないものについては、当該部分の高さを一・六メートル以上とすることができる。
- (4) 令第一〇条(避難階段)関係、令第一一条(防火区画)関係及び令第一二条(換気装置)関係 本条の規定による。
- (5) 令第一三条(照明装置)関係 本条の規定による。ただし、人の立入らない部分については、本条の規定による照明装置は、これを設けないことができる。
- (6) 令第一四条(警報装置)関係 本条の規定による。
七 その他
前記の認定基準は、I総則の(2)に記した分類による特殊装置についてのものであるので、この分類が予想してない用い方をする場合には、その用い方に該当する分類の特殊装置としての認定を要するものとする。