建設省都計発第一〇号・都再発第六号・道政発第四号・道交発第六号・道企発第三号
昭和六二年一月二九日
県土木部長あて
都市局都市計画課長・都市局都市再開発課長・道路局路政課長・道路局道路交通管理課長・道路局企画課長通達
時間制限駐車区間規制の実施に際しての留意事項の詳細について
昭和六二年一月二九日付け建設省都計発第九号、建設省道交発第五号都市局長、道路局長通達「道路交通法の一部を改正する法律等の施行に伴う時間制限駐車区間規制の実施に際しての留意事項について」で通知した規制の実施に際して留意すべき事項の詳細は左記のとおりであるので、本規制の適正かつ適切な実施が図られるよう措置されたい。
記
1 時間制限駐車区間規制の考え方
(1) 目的と対処の基本的方針
車両の駐車は、基本的には路外駐車場によるべきものであり、建設省としても、その整備を推進しているところであるが、これにもかかわらず、特に円滑な交通流を確保すべき幹線道路においても一部に違法駐車が横行し、都市交通機能を大きく阻害している。
こうした事態に対処するため、幹線道路に隣接する道路等において駐車禁止規制区間の一部を時間制限駐車区間へと変更し、幹線道路の違法駐車を強力に取締るとともに、やむを得ない短時間駐車需要を時間制限駐車区間に誘導することにより、幹線道路の機能確保を図ることが、この規制の目的である。
時間制限駐車区間規制は、路外駐車場の整備が行われるまでの間に緊急避難的なものとして行われるものであり、また、道路の機能に多大な影響を及ぼすとともに、路外駐車場の整備等を阻害するおそれもあるので、その実施については慎重に対応されたい。
(2) 地域の駐車需要と路外駐車場等との需給バランス
昭和六二年一月五日付け警察庁交通局長通達「時間制限駐車区間規制の実施基準について」の記(以下「実施基準」という。)の第三「規制実施の考え方」により、「地域の駐車需要と路外駐車場等との需給バランス」に配意するに当たっては、現在の需給バランスのみならず将来の需給バランスを考慮して、路外駐車場の整備等に支障のない場合にのみ時間制限駐車区間規制を認めることとされたい。
(3) 短時間駐車需要
実施基準第三「規制実施の考え方」の「必要やむを得ない短時間駐車需要」は、具体的には、商店街、問屋街等における荷物の配送・荷積み・荷降しのための駐車等を想定したものである。
2 対象道路等
(1) 幹線道路
時間制限駐車区間規制の制度の目的から、幹線道路においては、原則として、時間制限駐車区間規制をなし得ない。 ここでいう幹線道路とは、昭和六二年一月五日付け交通規制課長事務連絡にあるとおりであるが、時間制限駐車区間規制が主として都市部を想定していることから、一般国道、主要地方道、一般都道府県道及び一部の幹線市町村道が該当する。ここでいう幹線道路には、都市計画法施行規則第七条第一項第一号でいう幹線街路は当然に含まれる。
(2) 歩道のない道路で実施する場合
時間制限駐車区間規制は、原則として歩車道の区別のある道路において実施すべきものであるが、歩道がない場合でも二・〇メートル以上の路側帯が確保できる場合には実施することができるものとする。 例外的には、一・五メートル以上二・〇メートル未満の路側帯の場合でも歩行者、自転車及び自動車の通行量が少なく交通の安全に支障がないときには規制を行うことができるものとする。
(3) 車道幅員
車道幅員が相互通行の場合、片側三・二五メートル以上、一方通行の場合四・〇メートル以上確保できることが必要である。 ただし、大型車の通行禁止規制がなされていれば、相互通行の道路では、片側三・〇メートル以上あれば規制を行うことができるものとし、一方通行の道路では、道路の両側に歩道又は路側帯があり、かつ、車道幅員が三・五メートル以上あれば規制を行うことができるものとする。 (2)及び(3)の路側帯の幅、車道幅員は、交通の安全・円滑を図る上で必要最低限のものであるので、これを更に下回ることがなきよう徹底されたい。
(4) その他
時間制限駐車区間規制を駅前広場及びその近辺で実施することは、交通結節点における交通の円滑の確保という観点からは適当でないので、慎重に対処されたい。 また、時間制限駐車区間規制の実施に際しては、平行駐車を原則とされたい。
3 路外駐車場との関係
実施基準第四の四「路外駐車場との関係」において「当該駐車場の有効な利用を損なうおそれがないと認められる場合」とは、当該駐車場の駐車容量を超える駐車需要に対応する場合であって、かつ、当該駐車場の利用率を減少させることがないと想定される場合とする。
4 パーキング・メーターとパーキング・チケット発給設備の設置区分
(1) 原則
パーキング・メーターは、施設と駐車車両が一対一で対応し、駐車位置も厳格であるとともに、制限時間を経過した場合のランプ表示等、駐車時間の制限規制遵守の担保機能を有している。 一方、パーキング・チケット発給設備はより簡易な施設で、施設と駐車車両が一対複数(おおむね七0一〇台程度)で対応し、駐車についても、全体的な駐車可能区間は示されるものの、必ずしも一台ごとに明確に位置を指示されるものではない。また、駐車時間の制限規制遵守の担保機能については、パーキング・メーターに劣るものであり、規制遵守は運転者の自律に負うところが大きい。 そこで、改正後の道路交通法は、より強い担保機能を有するパーキング・メーターを原則とし、パーキング・メーターを設置することが適当でないと認められるとき、パーキング・チケット発給設備によることができるとしたのである。
(2) パーキング・チケット発給設備によらざるを得ない場合
パーキング・メーターを設置することが適当でなく、パーキング・チケット発給設備によることができるのは、次のような場合である。
- 1) 道路構造上パーキング・メーターの設置が困難な場合(例:地下占用物件があり、パーキング・メーター本体及び地中線の埋設工事のできない場合)
- 2) 近い将来、パーキング・メーターの移設が必要となるような道路工事が見込まれ、又は交通規制に変更が予想されるなど、パーキング・メーターを設置することが不合理な場合
5 協議会
(1) 実施基準第八「関係者との協議」に基づき設けられる協議会の構成メンバーのうち、「道路管理者」には、時間制限駐車区間規制が行われる道路の道路管理者のほか、当該規制の影響が及ぶ道路の道路管理者も含まれる。
実際には、県又は市単位で関係する道路管理者を協議会の構成員とするよう警察庁から指導しており、貴職の管理に係る道路に時間制限駐車区間規制がなされる場合のみならず、他の道路に規制がなされる場合でも協議会に参加し、交通流の影響等を考慮し、地域全体の駐車対策の推進、安全かつ円滑な交通の確保の観点から積極的に意見を述べることとされたい。
(2) 協議会においては、当該規制の道路交通に対する影響、土地利用、都市施設等の都市計画との整合及び地域全体の駐車政策との関係に留意し、長期的、総合的な都市交通政策の観点から積極的に関与されたい。
6 既設のパーキング・メーターによる時間制限駐車区間規制について
現行の道路交通法第四九条に基づく駐車時間制限は、改正後の道路交通法第四九条から第四九条の四に基づく時間制限駐車区間規制に切り替えられることとなるが、実施基準に適合しないものも数多くあると思われる。 既設のパーキング・メーターによる時間制限駐車区間規制で実施基準に適合しないものの全てを廃止することは困難と思われるので、幹線道路に設置されているもの又は路外駐車場に近接するもの等支障の大きいものを中心に廃止を求めることとされたい。
7 違法駐車の取締り
警察庁においては、時間制限駐車区間規制の実施と合わせて、特に幹線道路における違法駐車の取締りは万全を期するよう都道府県警察を指導することとしているので、貴職におかれても必要に応じ違法駐車の排除について都道府県警察に要請することとされたい。
8 パーキング・メーター等の撤去又は移設
道路管理者が行う歩道等の設置、拡幅その他の工事に起因して、パーキング・メーター等の撤去又は移設が必要となった場合には、公安委員会は速やかにこれを撤去又は移設するが、この場合の費用は、当該公安委員会が負担するものである。
9 その他
時間制限駐車区間規制の実施に際し、本通達の内容等に関して不明な点が生じた場合は、建設省道路局道路交通管理課に照会・連絡することとされたい。また、当分の間、協議会における協議内容等に関しては、都市計画担当部局及び駐車場担当部局からは建設省都市局都市計画課都市交通調査室に、道路部局からは建設省道路局企画課に逐次報告することとされたい。この場合、都道府県レベルの協議会にあっては都道府県の担当部局が、また、市町村レベルの協議会にあっては市町村の担当部局が都道府県を通じて報告することとされたい。
(参考)
事務連絡
昭和六二年一月五日
/各管区警察局交通担当部長/警視庁交通部長/各道府県警察(方面)本部長/ 殿
警察庁交通局交通規制課長
時間制限駐車区間規制の実施基準にいう幹線道路の意義等について
時間制限駐車区間規制の実施基準(昭和六二年一月五日付け警察庁丙規発第二号)にいう幹線道路の意義については、建設省との協議において、左記のとおり了解を得ているところである。 なお、同実施基準においては、時間制限駐車区間規制の実施に当たり、警察、道路管理者等の関係者で構成する協議会において協議するものとされているが、当庁と建設省との協議において、この「道路管理者」には、時間制限駐車区間規制が行われる道路の管理者のほか、当該規制の影響が及ぶ道路管理者も含まれるものである旨了解されているところであるので、併せて申し添える。
記
幹線道路の意義
実施基準にいう幹線道路とは、主として通過交通に利用される道路の区間を想定している。これは、「道路構造令の解説と運用」(日本道路協会)の中で述べられている主要幹線道路及び幹線道路に対応すると考えられる。
(1) 主要幹線道路
主として地方生活圏及び主要な都市圏域の骨格を構成するとともに地方生活圏相互を連絡する道路で、地方部にあっては、トリップ長が長く交通量も多い道路をいい、都市部にあっては交通量が多く、トリップ長が長・中である道路をいう。 したがって地方部では高速自動車国道、主要な一般国道及び一部の主要地方道が、また都市部では都市高速道路、一般国道及び主要地方道が主要幹線道路に対応する。
(2) 幹線道路
地方部にあっては、主として地方生活圏内の二次生活圏の骨格を構成するとともに、主要幹線道路を補完して二次生活圏相互を連絡する道路で、トリップ長が比較的長く交通量も比較的多い道路をいう。都市部にあっては、その骨格及び近隣住区の外郭となる道路で、トリップ長が中・短で交通量も比較的多い道路をいう。 したがって地方部では、一般国道、主要地方道及び一部の一般都道府県道が、都市部では、一般国道、主要地方道、一般都道府県道及び一部の幹線市町村道が幹線道路に対応する。
<参考>
(社)日本道路協会編集・発行に係る「道路構造令の解説と運用」の中で述べられている道路の機能分類は次のとおりである。
(1) 主要幹線道路
主として地方生活圏及び主要な都市圏域の骨格を構成するとともに地方生活圏相互を連絡する道路で、地方部にあっては、トリップ長が長く交通量も多い道路をいい、都市部にあっては交通量が多く、トリップ長が長・中である道路をいう。 したがって地方部では高速自動車国道、主要な一般国道及び一部の主要地方道が、また都市部では都市高速道路、一般国道及び主要地方道が主要幹線道路に対応する。
(2) 幹線道路
地方部にあっては、主として地方生活圏内の二次生活圏の骨格を構成するとともに、主要幹線道路を補完して二次生活圏相互を連絡する道路で、トリップ長が比較的長く交通量も比較的多い道路をいう。都市部にあっては、その骨格及び近隣住区の外郭となる道路で、トリップ長が中・短で交通量も比較的多い道路をいう。 したがって地方部では、一般国道、主要地方道及び一部の一般都道府県が、都市では、一般国道、主要地方道、一般都道府県道及び一部の幹線市町村道が幹線道に対応する。
(3) 補助幹線道路
地方部にあっては、主として地方生活圏内の一次生活圏の骨格を構成するとともに、幹線道路を補完して一次生活圏相互を連絡する道路をいう。都市部にあっては、近隣住区内の骨格を構成する道路をいう。 したがって地方部では、一部の主要地方道、一般都道府県道、幹線市町村道の道路が、都市部では一部の主要地方道、一般都道府県道、幹線市町村道が補助幹線道路に対応する。
(4) その他の道路
補助幹線道路から各戸口までのアクセス機能を主とした道路でトリップ長、交通量とも小さい道路をいう。 したがって、地方部では一部の幹線市町村道と一般市町村道が、都市部では一部の幹線市町村道と一般市町村道が該当する。