コインパーキングとは

コインパーキングとは、有人駐車場(管理人の居る駐車場)に対し、車両をロックする駐車場装置(以下「ロック板」という)と全自動料金精算機(以下「精算機」という)を駐車場内に設置することにより、不特定多数の誰でもが24時間利用できる無人の時間貸駐車場のことをいう。
1991年12月に「タイムズ」の第一号の24時間無人時間貸駐車場が東京都台東区で営業を開始したのが、コインパーキングのはじまりです。
コインパーキングは、バブル経済の崩壊後の虫食い遊休土地の短期的な有効活用をしようということで現れ急成長をとげました。

 

 コインパーキングの経営方式

 一括借り上げ方式

コインパーキング会社が、個人や法人の土地所有者から遊休地などを賃貸して、駐車場機器を設置する方式です。
コインパーキング会社は、土地所有者に対し毎月定額の地代を支払います。
土地の一時使用の契約期間は、2年から3年が多く、契約期間満了後は1年毎の更新とすることが多く見られます。
駐車場機器等の費用及び管理運営はコインパーキング会社が行います。
但し、最近はアスファルト舗装を土地所有者に負担させるケースが多く見られます。

 

 利益配分方式

コインパーキング会社と土地所有者が、コインパーキングの利益を予め取り決めた割合で配分する方式です。
コインパーキングは、土地所有者に対し毎月管理運営の収支を報告します。

 

 管理委託方式

土地所有者が、駐車場機器を設置し、集金・清掃・トラブル対応等の管理運営を運営会社に委託する方式です。
運営会社は、土地所有者に対し毎月管理運営の収支報告を行い、管理料をもらいます。
好立地の場合には、管理委託方式で行われるケースがあります。

 

 車体ロックの方式

コインパーキングは車体をロックする方式の違いにより「ロック板方式」と「カーゲート方式」に分けられます。

 

 ロック板方式

ロック板とはコインパーキングにおける乗り逃げ防止のための装置です。
車両が駐車スペースに入ると車両検知器が作動し4~5分後にロック板が上昇し、車体をロックします。
精算機で料金を支払うと下降します。
ロック板の下降後、速やかに出庫しないと再度ロック板は上昇してしまいます。
この場合にロック板を下降させるためには再度料金精算が必要となります。 ロック板には下記のような種類があります。

 

-タイヤロック式
タイヤロック式とは、駐車スペースの中央あたりに設置されるロック板。
入庫すると前輪と後輪の間にロック板が位置するかたちになる。

 

-車体ロック式
車体ロック式とは、駐車スペースの前方部に設置されるロック板。
入庫すると車体の前方にロック板が位置するかたちになる。

 

 カーゲート方式

カーゲート方式とは、車両が駐車場入口に進入すると駐車券発行機から駐車券が自動発行され、駐車券を抜き取とるとカーゲートが開き入場可能となり、駐車します。
そして、出口で駐車券を自動料金精算機に入れ精算し、精算が完了するとカーゲートが開き出場、という手順で入出庫が行われる方式をいいます。

 

 PAY ON FOOT

アメリカ合衆国の無人の平面駐車場においては、日本で言う『コインパーキング』のアメリカ版といえるような駐車場が存在した。
『PAY ON FOOT(徒歩で支払いに行く)』と呼ばれる駐車場で、日本にあるようなフラップは存在しない。



あくまで白線内に普通に車を停めるだけで、『料金前払い、料金体系は12時間12ドルの一種類のみ』という設定がほとんどだった。
路上駐車スペースの集合版という印象を受けた。
平日の14時~17時に利用・見学したところ、どのPAY ON FOOTも8~9割は埋まっていた。
精算機が一機あるだけなので、初期投資がほとんどかからず、日本のコインパーキングのようにフラップ絡みのトラブルが皆無なところが、このシステムの利点だ。

 



逆に『不正の取締りが困難で駐車料金の回収率が悪いというリスクの方が大きいのでは?』と感じていたが、各地のPAY ON FOOTを見たところ、ほぼ100%に近い割合で各利用車のダッシュボードに購入済チケットが提示(写真14)されている。

 

路上駐車スペースにて『EXPIRE(利用時間終了)』表示のパーキングメーターが連発だったことは、『お役所側の回収意欲が薄い』ということで納得がいくが、『この設備でこれだけの人がまじめにチケットを購入している』理由が全くわからず、(コネがなくどのPAY ON FOOT管理者に話を聞くこともできずに、)皆で思案に明け暮れていた。
そんな折、幸運にもあるPAY ON FOOTで集金担当者が通りかかり話を聞くことができ、その謎を解明することができた。
ここで聞いたPAY ON FOOTの管理方法に関しては、この後の駐車場管理方法にて詳しく記述する。

 

 PAY ON FOOT管理方法

次に、PAY ON FOOT集金担当者からきいたPAY ON FOOT管理方法だが、①不正車(=料金未払車)を見つけたらまず、『出庫時の専用BOXへの駐車料金支払い』を促す催促状に不正車のフルナンバーを記入して、運転席のガラスに貼り付ける。
と同時に、不正車リストにフルナンバーを記入する。②翌日の集金時に、専用BOXの中身を回収して、未払いだった不正車には、フルナンバーから住所を調べて、再度料金支払いを促す封書を出す。
③これでも、未払いの場合は罰則金や諸経費を含めた料金を徴収しに行く。
②の封書を出した段階で、70~80%は回収できるそうで、②までの作業ならそんなに手間はかからないとのこと。
『恐らく、フルナンバーを控えてあることで、すぐに堪忍するのではないか』とのこと。彼一人で、12件のPAY ON FOOTを管理しているそうで、立体駐車場同様、勤務人数が日本に比べて格段に少ないということになる。
ちなみに、不正車リストにある車が再度不正した場合には、直ちにレッカー移動するとのこと。
料金後払いがほとんどの日本のコインパーキングでは、今のところ不可能な対応策だが、非常に有効な手段だ。
また、どのPAY ON FOOTも比較的均等に埋まっているのは、『(地理的な条件ももちろんあるが、)日本以上に車利用の多いアメリカにおいては、12時間12ドルの料金に魅力を感じる層が十分に存在し、利用客にリピーターが多いため』だそうだ。
ただし当然、回転率はあまり良くないらしい。
いずれにせよ、日本のコインパーキング管理方式は、料金はキッチリ回収できるが、不正車の取締りにためのビデオカメラの設置・ビデオによる不正確認・設備の保守等、アメリカと比較した場合に格段と経費がかかることは間違いない。